平静とロマン

平成生まれの大正浪漫

2月28日 電車のこと

小学生のころから電車通学をしていたから、満員電車にはまわりの同年代の子より多く乗っていると思う。
通勤ラッシュの時間の混雑は、慣れているひとたちばかりだから、自分だけがつらい思いをしているみたいなアピールをする嫌なひとにはめったに出くわさない。だから、休日のほどほどに混んでいる電車よりは身動きもできないような満員電車のほうが好き。

最近、電車で座って下を向いていると酔うようになった。本を読んでいると気にならないけれど、スマホを見ていると吐き気と頭痛がどうしようもないくらい押し寄せてくる。
自律神経が弱っているのかしら。

2月27日 フライドポテトのこと

今日の夜はあまり食欲がなかったけれど、なにかつまみたかったかは、仕事帰りの母を駅まで迎えに行って、駅の近くのファストフードでフライドポテトを買って帰った。

フライドポテトはときどき食べたくなる。
アップルパイも好き。
けど、バーガーはあんまり好きじゃなくて、ナゲットを頼むことが多い。

家にもって帰ったフライドポテトってどうしてあんなにへにゃへにゃになってしまうんだろうか。あたためてもトースターでちょっと焼いてもお店で食べるときのあのカリカリ感は戻ってこない。しなびたポテトをつまむのはいつもちょっと切ない。それはそれでおいしいのだが。

2月26日 パジャマのこと

インスタグラムでちょこちょこ見かけていたGUのパジャマが気になって実物を見に行った。

ここ最近流行っていた、パイピングが施された開襟のてろんとしたシャツパジャマ。
グランドブタペストホテルとかに置いてありそうな、クラシックでロマンチックなデザインのもの。

高いルームウェアブランドから流行りだして、リア充女子大生御用達(というイメージ)のふわふわかわいいルームウェアブランド、gelato piqueにも流行が降りてきて去年頃から気になっていたけど、上下で1万円ほどするため、買えないわけではないものの軽率に買える代物ではなかった。

それが、GUだと2500円。
長方形に畳まれたパジャマが太めのサテンリボンでまとめられているデザインもかわいくて、ファストファッションまで流行が降りてきてようやく飛びつくような女の子たちを鼻で笑うような高飛車で傲慢なふだんの姿勢を脱ぎ捨てて店舗に向かった。


売り切れの店舗も多く、極端に小さいか大きいサイズしか残ってないところがたいていといった情報を事前に聞いていたものの、わたしが行った店舗は全てのバリエーションにSサイズが残っていた。

ハンガーにかかっていたサンプルを見て、こんなもんかーと思いつつ、気になっていた綿100%のストライプのパジャマセットと、レーヨン混じりの無地の紺のワンピースを手に取った。

何かが違うと思った。

正直、2500円程度で素材の質なんて全く期待していなかったし、それでもかわいければいいかなあと思っていた。
けれど、シンプルなデザインで、布のなめらかさや照りはイマイチな、すとんとしたシルエットのパジャマ。
経験上、ファストファッションの洋服は基本的にラインがまっすぐである。

中条あやみさんが着用しているイメージ写真や、インスタでの購入報告画像はすごくかわいい。

だけど、だけどだ。
このパジャマ、たいしてかわいくもなければ華奢でもないわたしが着て、はたしてかわいくなれるだろうか。インスタ映えするとしても、そもそも無機質で寒々しいわたしのインスタグラムにアップしても場違いなだけだ。
誰に見てもらえるわけでもないのに、ごわごわするパジャマを着ても、わたしはきっと幸せを感じられない。
手に取って立ち尽くしてしまった。
流行のかわいいに対する、圧倒的な敗北だった。

個性的なものが好きで、人と違っていることが喜びだと思っていた。
去年くらいからプレッピーな格好もしはじめて大人しい綺麗めスタイルも好きになったし、ファストファッションの賢い使い方も覚えたから、ひねくれるのはやめて流行に乗ってみようと思ったのだ。

わたしは、流行に乗れなかった。
王道のかわいいファッションはできなかった。

かわいくて細い子がたくさん着ているお洋服をわたしが着ても、わたし自身がかわいくなれるわけじゃないし、むしろ着ているものが揃えられただけ、素材のレベルを自分で悟って暗い気持ちになるのがどうしようもなく怖かった。

たかだかパジャマだけど、ずっと目をそむけてきたなにかに気がついてしまったショックは大きかった。

いまはまだ、きちんとかわいくなる努力をして、自分に似合う目立ちすぎない服を着て、こういう負い目をすこしずつなくそうとしているところだ。

流行りのものでも、好きなものなら自信を持って着られるようになりますように。なむなむ。

2月25日 ハイヒールのこと

かかとが高い靴をはじめて履いたのは中学3年のときだったと思う。
中学1年のときに仲良しだった友達が、10cmのヒールを履いていると聞いて彼女が急に大人になってしまった気がして、どこか遠くに行ってしまったような気がして、悔しくなって母にねだった。

夏のセールで買ってもらったそれは、ピンクがかった朱色で、イタリア製のちょっと高い7cmのウェッジソールだった。

すこし前に処分してしまった気がするけれど、気に入ってよく履いていた。夏っぽくて、溌剌とした印象のあるかわいい靴だった。


今日は半年ぶりくらいにヒールを履いて出かけた。
3年前にオリエンタルトラフィックで買った、グレーのスエードでかかとに赤い幅広のグログランリボンの飾りがついている7cmのヒール。

足がすぐ痛くなってしまうからあまり歩かないときしか履けないが、グレーに赤の組み合わせと横から見たときのシルエットが可愛くてお気に入りだ。

ヒールを履いてコツコツ歩いていると足元が綺麗で、それだけでふだん感じている引け目がなくなる気がする。

足が痛くなっても我慢しようと思えるくらいのお出かけのときにしか履かないから特別なおめかしの靴になる。
もっとも、マノロブラニクとかサンローランとか、高い靴は痛くならないらしいけど(このあいだも書いたな)。

少々脱線した。
そう、オリエンタルトラフィックのグレーのパンプスは、駅から比較的近いところに行く予定だったから歩かないだろうと思って履いて出かけたが、予想していたほど違和感がなくすこし歩いても問題なさそうだったから、予定を変えて一駅歩くことにした。山手線の一駅だからせいぜい10分くらいだったし。

ところが、住宅街から大きな道路を目指してスマホでマップを確認しつつ歩いていたら、それはそれは急な細い坂道に行き当たってしまって、下りながら転びそうで怖くなってしまった。

一組の男女とすれ違い、見られていないか後ろを確認してから、えいやっとパンプスを脱いだ。
そのまま、素足でとことこ都内のおしゃれ住宅街の坂を下ってしまった。
思ったより気持ちがいいぞ……。
ガラスを踏んだりしないか若干心配ではあったものの、足の裏がちりちりする感覚は悪くなかった。ものすごく品のないことをしている背徳感も相まって楽しかったのだ。
パンプスでよろよろ歩いていたところから地面に降りた安定感も心地の良いものだった。

こっそりまたどこかを素足で歩いてしまおうか。あるいは、誰か素足で一緒に人気のない道を歩きませんか。けっこう楽しいよ。

2月24日 彼のこと

しばらく更新が空いてしまったのは1週間に4学部の入試が詰まっていたり、終わったとたんに9時から16時までの塾が毎日入っていたりしたからなのだけど、とりあえず慣れてきて余裕が出てきたから再開する。
(あまり自慢するべきことではないと思うけど、なんと受験はいまのところ受けたところ全てで合格をいただいていることをここに報告する)


小沢健二(以下オザケン)は、世界の終わりの中島さん(真面目っぽいギターの人だ)が言及していてなんとなく名前を知っていた程度だったけど、3年くらい前だろうか、TOKYO FMの好きな番組で渋谷系特集をしていたときに耳にしたのをきっかけに聞きはじめた。

でんぱ組.incの好きな曲の一節が実はオザケンの歌のオマージュだったり、ちょうどその頃出たアルバムの一曲がカバー曲だったりして、世界がつながる感覚が面白かったし、さよならポニーテールが好きだったから、親和性が高くて耳にすぐ馴染んだ。

だから、彼の人気の背景とか、当時のサブカルの彼への憎悪とかは全く知らない。

ただただ曲が好きで、留学中に一人で歩きながら『ぼくらが旅に出る理由』を聞いてエモくなったりしていただけ。


去年突然ツアーを開催したときも、受験だからライブなんて簡単に行ける雰囲気じゃなくてパスしていたから、先日新曲が出ると突然発表されたときは本当に驚いた。
わたしがオザケンを好きになったときにはもう彼は半分隠居みたいな感じだったから、まさか新しい曲が聞けると思っていなかった。

あと、周囲の人たちの反応にも驚いたかもしれない。渋谷系が一世を風靡したのは知っていたけど(母がほぼ世代なのかな)、久しぶりの新曲でこんなに世の中が騒がしくなるタイプのミュージシャンだということはわかっていなかったから。

今日のミュージックステーションで出てきたとき、一瞬誰かわからなかった。
普通のおじさんだ。先生っぽい。
頭と育ちが良い人って歳をとるとこうなるよねって感じ。

母は真横で出てきた瞬間に「復活しなきゃよかったのになんで出てきたの」って嘆いていたけど、わたしは嫌いじゃなかった。
声の張りはやっぱりおとろえているけど、『ぼくらが旅に出る理由』と新曲を続けて聞いたら、やっぱり新曲のほうが声が曲によく合っていてしっくりきた。

発売日当日に朝のラジオで新曲を聞いたときは随分声が小さくて線が細い曲だなあと思ったのはラジオ用音源のマスタリングの影響なのかな。

おじさんになったらおじさんが歌ってかっこいい歌を作れるってやっぱりすごいと思うから、明日CD買ってこよう。
ラジオで聞いて一瞬パスしかけてごめんなさい。

2月12日 疲れた日のこと

くたくたで帰ってきて、あーこれはダメだなもう寝ようってなった日に限ってお布団に入ったとたんに目が覚めてしまうのはなんなんだろう。

ぬくぬくのお布団はだいすきで、休日はおふとんの中で丸まって本を読んだりだらだらスマホを見るのが好きなのだけど、眠ることも起きることもすごく苦手。苦手すぎて病院に通っているくらい。

起き上がっていると雲みたいにもわーっとやってくる眠気は、横たわった途端に冷たくて凹凸のない、目を覚ます何かに変わってしまう。

マットレスとか敷布団を変えたら多少変わるのかしら。

2月11日 きらきらかわいいもののこと

ルミティアステッキという、お菓子売り場に売っているいわゆる食玩といわれるタイプのおもちゃを買った。

女の子の永遠の憧れであるキラキラと、ゆめかわいいを詰め込んだ「まほうのアイテム」ってコンセプトらしい。

セボンスターと比べるとけっこう高いけど、気になっていたから買ってみた。

わたしがひいたのは、ラメがまじったクリアイエローのボディにピンクの箔押しがほどこされた雪の結晶に紫の羽がついているヘッドがパステルイエローの軸についていて、軸の端にトランプのダイヤマークみたいなかたちのパステルブルーの飾りがついているもの。
サイズはこどもの手のひらにちょうど収まるくらいだろうか。

こどもってストラップとしてなにかにつける機会ってあんまりない気がするし、頭にボールチェーンを通すための丸い穴がついてたら興ざめだなあって思っていたのだけど、ちゃんとヘッドの裏にストラップホールがつくられているから、ストラップとして使えるようにしつつステッキとしてのデザイン性も損なわれていない。

しかも、ヘッドと軸は取り外しが可能で、同じシリーズを買えば自分だけのステッキが作れてしまうのだ。スタービーズという、ヘッドと軸につけられるカスタムパーツも存在する。

こんなの、ときめかざるを得ないでしょう。

手のひらにすっぽり納まるくらいの自分だけのステッキなんて、いつ敵が現れてもいいように普段は縮めている、魔法少女に変身するための「まほうのアイテム」じゃなかったらなんだというんだろう!

出てきた敵があまりにも強くて、窮地に立たされたそのときには味方の魔法少女のスタービーズを借りて、いっそう強い新たな技を生み出せる。魔力の元となるスタービーズを交換することは、魔法少女として大きな意味がある……なんて、なんて、大きくなったわたしでも考えてしまう。

といいつつ、わたしはピンクとかパステルカラーとか、いわゆるゆめかわいい系が似合うタイプじゃないし、手持ちのものはすっきりしたデザインが多いからストラップとしては使えないし、かといって部屋にきれいに飾れるほど丁寧な性格でもない。
だから、ひとつかふたつ持ってるだけでも持て余してしまう。基本こういうかわいいものとは親和性が低いのだ。ゆめをもらうにはひとつで十分。
だいじに引き出しにしまっておく。