平静とロマン

平成生まれの大正浪漫

考えること・夜


夜、車に乗って、助手席から電灯の並ぶ道路を窓から眺める。

空はまっくらなのに、たくさんの灯りに照らされて明るいままで。
小さいころから住んでいる街の、よく知っている風景のはずなのに、ぜんぜん違う気がする。


半年くらいの間に、いままでのわたしの人生で、わたしを当たり前に取り巻いていたものがいっぺんに去っていって、わたしは自分の好きなものとか、これだけは譲れないって思っていたことも見失った。

それから、はっきりとは意識していなかったけど、ずっとずっといろんなものについての考えごと繰り返していた。
たくさんの再考を重ねて、結論は出せなくてもそれなりに自分で納得がいく方向を探した。


そうやって見つけたあたらしい理由や意味を根拠にしているわたしは、いままでと同じひとなのかなって車に乗りながらぼんやり考えていた。
同じ思い出を持って、同じ顔立ちと同じ声を持っているけど、よりどころや、目指す先にもつ気持ちは、同じではない。

生きている、いまのわたしの芯になっているそういう気持ちが違ったら、違うひとって言ってもいいんじゃないかな。

ちょっと気が楽になった気がして、車の振動が心地よかった。