平静とロマン

平成生まれの大正浪漫20歳

来るべき愛のために


最高の映画に人生を救われてから1週間経った。

劇場で映画を観て、もういちど劇場同じ映画を観て、週の前半はちゃんと学校に行った。久しぶりに授業をほとんどサボらず真面目に出席できた。週の後半はゼミをお休みして美術展に行ってから詩の集まりに参加して、パワフルな詩人の講演会に出て、また美術展に行った。


男が開けていった穴に芸術を流し込んで、急速に傷はふさがりつつある。それはすごく幸せなことで、わたしはいまかつてないほどパワフルだ。
男はわたしの好きな芸術や文化に興味のない忙しい男だったので、会うための時間やお金を捻出するためにわたしは映画館にも美術展にも行くことをやめていた。それはそれで良かったのだ、そういう時間もあって良かった。


けれど、自分で繋いでいたそういう鎖を断ち切ったとたんに溢れてきたのは精神を満たす幸せで、半年間の(おおむね)不幸な恋愛から得ていた楽しさや快楽よりずっと穏やかで信頼できる正の感情だった。


「恋愛は、しばらくいいかなって思う」と、とくべつなひとに話した時に「君にそう言わせてしまう男は悪い」と言われて、そうかな、と思った。若くてめちゃくちゃな恋愛は若いうちに経験しておくのが良い。その人はパーフェクトな純愛のただなかにいるので、伝わらないかもしれないけれど。わたしはかなりがたがたなので。


すこしおとなになって、大人の世界らしきものに手招きされつつあるいま気づいたことは、すべてをことばにしなくてもよいし、ことばはできるだけ適切なタイミングで出したほうが良いということ。

おとなになると、いいたいことがあってもいつかくる最適なその時まで心のうちにとどめておけるということ。


もうすこし待っていてほしい、来るべき愛のために。