平静とロマン

平成生まれの大正浪漫

アノニマス・ラジオステーション

 

あなたのことを好きだと思った。不特定のあなた。どんよりとした吐き気と眠気のなかで、わたしはいま愛に満ちている。
 はじめての場所ではひどく気を張る。特に自分が受け入れられたい場所ではどのように振る舞えばいいのかを掴みたくて必死で周りの様子をうかがってしまうから、その場をあとにする頃にはひどく疲れている。振る舞い方に正解などないのに、相手への憧れや一方的に抱いていた好意が大きければ大きいほど相手の期待に添えていないのではないかと不安になりあまりの所在のなさに吐き気を催す。「今日も今日とて社会に適合できなかった」宛先もなく吐き出してようやくほんのすこしの安心を得る。わたしのことなど誰も気にしていない、良い意味で。言い聞かせるが理解しきれず目が冴える。