平静とロマン

平成生まれの大正浪漫

2015-01-01から1年間の記事一覧

「おいしくない」の向こう側

クリスマスが終わって、街はあわただしくモミの木をしまって門松を立てる時期になった。 わたしの家はクリスチャンではないけれど、流れに乗っかってそれなりにクリスマスをお祝いするからプレゼントがもらえるし、うきうきしている街を歩くのは楽しいから嫌…

花と銅鑼・GOKURAKU

「面妖」という言葉がすきだ。 ひらがなで書くと、めんよう。丸っこくて捉えどころのない音があやしげで言葉の意味にぴったりだと思う。 そんなあこがれの面妖なお姫さまが率いるバンド、パスピエの武道館公演は異世界のあざやかな幸せの洪水だった。 タイト…

かえりたいところ

文章の書き出しはいつも迷う。 英語で書いたり話すときみたいに結論からはじめたり、筆を取る(正確には「スマホのキーボードを操作する」だけど)きっかけになった行動やできごとを並べてみたり。気の利いた書き出しなんて出てこないから、結局いつも同じ、テ…

青い春ってなに?

最近、10歳とか20歳離れた大人の方とお会いすることがすごく多くて、その度に自分自身の若さを痛いほど感じる。経験の少なさからくる至らなさを悔しく思うことももちろんあるんだけれど、若さってそれだけで武器で強みで、アイデンティティになるのだ。 わた…

漂流するもの

詩とか短歌とか、街で見るちょっと澄ましたキャッチコピーとか、短い文章が好きだ。何百字何千字って長い長い文章が続く小説も好きなんだけれど、それとはすこし違う方向だ。たとえば短歌。 五七五七七、たった三十一音のなかに恋だの愛だのこの世の儚さだの…

文章を書いてみて思うこと

ブログを書くと、一つの記事がだいたい1500〜2000字になる。 書き終わってからプレビュー表示にさせながら読みなおして句読点の位置をずらしたり、ピンとこない表現や文章を差し替えたりするから所要時間は約90分だ。一週間ほぼ毎日続けて書いてみてあらため…

雑用

いま住んでいる家から祖父母の家までは、だいたい歩いて30分だ。 距離としては3kmくらいのものだが、それなりに急な坂をぐいぐい登らないとたどり着けない。真冬でも汗ばんでしまうくらいのちょっとした運動になるレベルだ。 手が足りなくて困っている…

笑う約束

わたしがはじめて自分でお金を貯めて買ったCDは、高橋優の『リアルタイムシンガーソングライター』だった。シングルもアルバムも出るたびに予約して買って、スピーカーやイヤホンから流れる彼の音楽にたくさんたくさん元気をもらってきた。 そのうち同時期に…

ガラス越しの未来

久しぶりに満員電車にのった。 吐息がかかるのを頬に感じるくらいに名前も知らないだれかと近づくことなんて、電車の中くらいしかない。混みすぎて本を開くこともできなかったから、うつむいて携帯をみていたら周りに立っている人たちの気配が、ぐっと迫って…

大切なクレヨンのかけら

わたしが本を読みはじめたのは6歳のときだった。 小学校に入るすこし前、母がとつぜん古本屋さんで50冊くらいごそっと本を買ってきた。母からわたしへの、入学祝いだったらしい。なんの前ぶれもなくわたしのお部屋にやってきたそのたくさんの本は、福永令…

「父が逮捕されました」

文部科学大臣賞を取った、中学二年生の子が書いた作文の要約を読んだ。叔母の市長選出馬をサポートした父が公職選挙法に違反し、捕まってしまうという内容だ。こういう文章を書けば文部科学大臣賞が取れるのか。正直意外だった。要約だからどこまで彼女自身…

恥ずかしい思い出といまのわたし

ツイッターをしたり、誰かの書いたものを読んだり、ネットの人が集まるところに関わっているとネットスラングに触れることは避けられない。わたしだってそれなりに、あまりきれいでない言葉も使うし、言語は常に更新され続けていくものだと思っているから、…

河川敷より愛をこめて

今年の秋はいつもよりすこしのんびり屋さんだったから、なかなかさようならを言ってくれなくて、わたしの好きな冬が来るのは遅かったように思う。11月のまんなかくらいにようやく外に出ると、頬に冷たい風が当たるのを感じて夜のよそよそしい静かな空気を吸…