2月26日 パジャマのこと
インスタグラムでちょこちょこ見かけていたGUのパジャマが気になって実物を見に行った。
ここ最近流行っていた、パイピングが施された開襟のてろんとしたシャツパジャマ。
グランドブタペストホテルとかに置いてありそうな、クラシックでロマンチックなデザインのもの。
高いルームウェアブランドから流行りだして、リア充女子大生御用達(というイメージ)のふわふわかわいいルームウェアブランド、gelato piqueにも流行が降りてきて去年頃から気になっていたけど、上下で1万円ほどするため、買えないわけではないものの軽率に買える代物ではなかった。
それが、GUだと2500円。
長方形に畳まれたパジャマが太めのサテンリボンでまとめられているデザインもかわいくて、ファストファッションまで流行が降りてきてようやく飛びつくような女の子たちを鼻で笑うような高飛車で傲慢なふだんの姿勢を脱ぎ捨てて店舗に向かった。
売り切れの店舗も多く、極端に小さいか大きいサイズしか残ってないところがたいていといった情報を事前に聞いていたものの、わたしが行った店舗は全てのバリエーションにSサイズが残っていた。
ハンガーにかかっていたサンプルを見て、こんなもんかーと思いつつ、気になっていた綿100%のストライプのパジャマセットと、レーヨン混じりの無地の紺のワンピースを手に取った。
何かが違うと思った。
正直、2500円程度で素材の質なんて全く期待していなかったし、それでもかわいければいいかなあと思っていた。
けれど、シンプルなデザインで、布のなめらかさや照りはイマイチな、すとんとしたシルエットのパジャマ。
経験上、ファストファッションの洋服は基本的にラインがまっすぐである。
中条あやみさんが着用しているイメージ写真や、インスタでの購入報告画像はすごくかわいい。
だけど、だけどだ。
このパジャマ、たいしてかわいくもなければ華奢でもないわたしが着て、はたしてかわいくなれるだろうか。インスタ映えするとしても、そもそも無機質で寒々しいわたしのインスタグラムにアップしても場違いなだけだ。
誰に見てもらえるわけでもないのに、ごわごわするパジャマを着ても、わたしはきっと幸せを感じられない。
手に取って立ち尽くしてしまった。
流行のかわいいに対する、圧倒的な敗北だった。
個性的なものが好きで、人と違っていることが喜びだと思っていた。
去年くらいからプレッピーな格好もしはじめて大人しい綺麗めスタイルも好きになったし、ファストファッションの賢い使い方も覚えたから、ひねくれるのはやめて流行に乗ってみようと思ったのだ。
わたしは、流行に乗れなかった。
王道のかわいいファッションはできなかった。
かわいくて細い子がたくさん着ているお洋服をわたしが着ても、わたし自身がかわいくなれるわけじゃないし、むしろ着ているものが揃えられただけ、素材のレベルを自分で悟って暗い気持ちになるのがどうしようもなく怖かった。
たかだかパジャマだけど、ずっと目をそむけてきたなにかに気がついてしまったショックは大きかった。
いまはまだ、きちんとかわいくなる努力をして、自分に似合う目立ちすぎない服を着て、こういう負い目をすこしずつなくそうとしているところだ。
流行りのものでも、好きなものなら自信を持って着られるようになりますように。なむなむ。